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アボン 小さい家

渋谷UPLINK-Xで映画「アボン・小さい家」(2002)を観た。最近、棚田(たなだ)のことを調べていたからだ。
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この映画の舞台であるフィリピン・ルソン島コルディレラ山岳地帯には世界遺産にも指定されている見事な棚田が広がっている。人が自然に働きかけた造形でこれほど美しいものが他にあるだろうかと思う。ただ残念ながらこの作品中には棚田はあまり登場しなかった。

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さて、この作品は可愛い3人の子供たちの暮らしを追いながら、現在のフィリピンをリアルに表現している。

フィリピンには、多様な民族性が織り成す複雑な文化構造がみられる。また国内の経済格差は想像を絶するほど大きく、下位所得層は海外出稼ぎに収入を依存している。しかし貧困層はその資金繰りもままならない。
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この作品でも母親は偽造パスポートをつかまされて逮捕、渡航費用の借金を返すあてを失い父親と子供たちは町を追われる。

逃げ帰った故郷の山岳地帯には、精霊への祈りと、自然と一体化して心豊かに生きるムラの暮らしがあった。「お金は無いが、いつでも食べ物があり家族がいる」

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しかし母親が釈放されムラにやってきた後、父親は日本へ出かけていく。

ところでこの地域には日系人がひっそりと暮らしているという。開拓農民なのであるが、戦時中日本軍にいいように利用され、また戦後は厳しい迫害をうけてきたそうだ。この作品の父親はその3世となっている。

監督は今泉光司氏
by bbbrothers | 2007-05-03 11:04 | 映画を観ました
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