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父と暮らせば

c0018561_20505146.jpg宮沢りえ主演の「父と暮らせば」を観た。(監督:黒木和雄 原作:井上ひさし)

原爆の告発映画である。
原爆でひとり生き残った主人公(宮沢りえ)の生存者症候群(サバイバー・シンドローム)とそこからの立ち直りを支援する父親の物語。
驚くべきことにこの映画の台詞がある出演者はたったの3人で、しかも浅野忠信扮する学生の台詞ははひと言だけだから要するに宮沢りえと原田芳雄の二人芝居である。
どうやら元々は戯曲だったそうだ。なーんだ。

実はこの父親(原田芳雄)は原爆で死んでしまっていて亡霊である。
亡霊と生きている人が普通に(?)暮らしているといえば「居酒屋ゆうれい」や「ゴースト」などが有名だ。

さて作品の出来映えは残念ながら不十分、もっと原爆は恐ろしいはずだ。
宮沢りえの「汚れのない美しさ」が邪魔になっているかも。
薄っぺらな表現のつじつま合わせとしか思えない説明的な長台詞はいただけない。
また作品の隠し味として盛り込まれた恋愛感情の部分も描写が中途半端だ。
室内のセットが比較的精密に出来ている反面、庭のセットが稚拙な点も悔やまれる。

というわけで今回はボロクソにさせていただきました。ファンの皆様ごめんなさい
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by bbbrothers | 2005-07-19 20:52 | 映画を観ました

埋もれ木

c0018561_17163018.jpg小栗康平監督の新作「埋もれ木」を観た。
ワンシーンワンシーンが精緻な織物(おりもの)、あるいは美しい写真集のページを繰(く)るようで比類無い極上の映像美に仕上がっている。

ある地方都市が舞台で市井の人々の暮らしの断片を象徴的に描いている。
映画のラストはその町に埋没林が発見され人々が静かに祝祭をあげるシーンである。

どの情景にもなんとなく既視感があるが実際にそういう体験はおそらく無い。
しかし、もしかしたら私たちには共通の記憶が意識の底に沈んでいてそのイメージに光をあてるという監督の意図があるのかもしれない。
具体と抽象が溶け合い虚実が混ざり合ったファンタジーによって私たちの内面の何かが開放される、そんな作品だ。

技術面で、光と色彩が絶妙にコントロールされることで、絶大な映像効果をあげている点は特筆したい。
また縦のラインと横のラインが交差するモチーフがいろいろな場面で用いられているが過去、現在、未来が縦、そして人のつながりを横と考えるとこの作品自体は織物のようでもある。
CGが多用されているがその技術進歩はめざましく、今後も映像作品における可能性は計り知れない。

ハリウッド映画嫌いの人々にぜひお勧めしたい芸術作品である。

主演は14歳の少女であるが、脇役で坂田明(sax)氏が怪演している。
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by bbbrothers | 2005-07-16 17:18 | 映画を観ました

のむぎ平和太鼓

先日「のむぎ平和太鼓」というグループの和太鼓演奏を聴いた。

見事な演奏に会場は割れんばかりの拍手であった。
なかでも小学生のような少女が、度肝を抜かれるほど迫力ある音を出していて驚いた。
なんだか少女に神様が乗り移っているようだった。

私も昔、和太鼓を少しだけ教わったことがあった。そのときは「三崎ぶちあわせ太鼓」という曲だったが、いい音というのはそう簡単には出ない。1日やっていても1回か2回・・・
自分と太鼓の中心と地球の中心をまっすぐ結んで身体全体で柔らかくしなやかに、という先生の言葉を思い出す。
あっという間に手は豆だらけになり降参した。

和太鼓の曲というのもなかなか長くて複雑である。
また身体表現というパフォーマンスも重要で一糸乱れぬグループ演奏となれば、
ステージに立つまでには文字通り血のにじむような練習を積んでのことだろう。
曲をよく聴いていると自分の好みとそうでないものとある。
やはり盛り上がる曲には興奮させられる。
ある友人が、太鼓の響きに人は原初的に揺り動かされるものだといっていた。

ところでこの「のむぎ平和太鼓」というグループは横浜の「のむぎオープンコミュニティスクール」というフリースクールの中高生たちが組んでいる。
不登校や高校中退の人たちの学舎である。一般向けの太鼓教室も開いているようだ。
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by bbbrothers | 2005-07-15 17:49 | 音楽の話題

マイナーバス

あれ? ここにバス停があったはず・・・

家のすぐ前にバス停があったのだが、いつのまにか消えてた。
やってくるバスは隣町の駅行きで、時刻表によるとダイヤは1日1~2本しかなかった。
(私の家は山奥の秘湯ではない。市役所にも歩いていける市街地だ。)
結局私はバスがここに停車するのを一度も見ることなくバス停は廃止になった。
一度乗ってみればよかったかなと思う。c0018561_12503670.jpg
こういうのを「免許維持路線」というらしく、バス会社が縄張りを守るための路線だったのだが、
3年前に道路運送法が改正され必要が無くなって「免許維持路線」は次々に廃止されたようである。

この話を知人のJUN君にしたところ、彼はこういう1日1本のバスをわざわざ探して乗っているというので驚いた。
バスマニアはこういうバスを「マイナーバス」というそうだ。大概乗客は乗っていないそうだからさぞ運転手は気楽だろう。

ところでこのJUN君はブルーグラスの達人である。年齢が30台というのは県内最年少プレイヤー(笑)だそうだ。ブルーグラスではメンバー同志で楽器を交替することが普通だそうで、そうなるとギターとバンジョー、フィドル(バイオリン)、マンドリン、ベースの全てが弾けことが必要だ。
とにかく若い後継者が欲しいと力説していた。どなたかいかがですか?
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by bbbrothers | 2005-07-09 12:43 | ちょいとびっくり

ミリオンダラー・ベイビー

映画「ミリオン・ダラー・ベイビー」を観た。アカデミー賞4部門受賞。
ボクサーに憧れた貧しい女性マギー。彼女がジムに入ったのは31歳、すでに若くはなかったのだがストイックでひたむき、ボクシングに対する情熱に燃えていた。
そんな彼女をヒラリー・スワンクが魅力的に好演している。
ジム経営者兼マギーのトレーナー役はクリント・イーストウッド。
マギーは持ち前の才能と血のにじむ努力の結果、デビュー戦以来、KOで連戦連勝を重ねた。
まさに痛快そのものである。
そして35歳でついにタイトルマッチに挑むビッグ・チャンスを得た。
その賞金がミリオンダラーだ。

華々しいその試合でとんでもないことが起きた。
私は背筋が凍り付き固まってしまった。
それからの後半は一転して時が止ったようだった。

感動的なラブストーリーなのだが、私は「起こったこと」が恐ろしすぎてそれどころではなかった。
あとで考えたのだが、その「起こったこと」は珍しいことではなくて、
いつ同じことが起きても不思議はない。現実味があってなおさら恐ろしい。

(この作品はホラーではない)
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by bbbrothers | 2005-07-06 21:41 | 映画を観ました

EPO 逗子なぎさホール

c0018561_1822217.jpg先週、逗子「なぎさホール」でEPOのライブを観た。
逗子市民待望の初の音楽ホールが今年6月こけら落しとなりそのオープニング企画の一つである。

EPOは逗子の隣町、葉山に住んでいて地元を意識したハートフルなショーであった。
彼女の物事に対する愚直なほどまっすぐでひたむきな態度が、透明感のあるノンビブラートの声と重なりホールは原初的回帰感に包まれた。
最近のEPOは「みんなで楽しめる歌」を探しているとのことで、当日の選曲にはその願いも込められていた。
アコースティックで固めたバックミュージシャンたちは確かなテクニックに裏付けされた安定感のある演奏で聴衆を魅了した。
とくに嵯峨治彦氏の、滅多に聴く機会がない馬頭琴と咽歌(のどうた=ホーミー)は、大地と空と風に生きるモンゴル族の悠然としたスケール感を感じさせてくれた。
その他のミュージシャンは、笹子重治(g)、岩原智(bass)、渡辺亮(per)、秋元カヲル(g,vo)。

EPOは今年デビュー25周年のJ-POP中堅のシンガーソングライターである。
1980年に名曲「ダウンタウン」でデビュー、当時の人気バラエティ「俺たちひょうきん族」のエンディングテーマに使われた曲だ。
山下達郎作曲、伊藤銀次作詞でプロデューサーは大瀧詠一。
ついでにいうと「ひょうきん族」のプロデューサー横澤彪氏、懺悔室の神父役を演じていたが現在は吉本興業の相談役である。
今回のライブも最後はこの曲で締めくくられた。

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c0018561_1841387.jpgウィキペディアによると「ダウンタウン」は1970年代前半に当時の若手ソングライターが曲を持ち寄り、それをザ・キングトーンズ(和製ドゥーワップの元祖でGOODNIGHT BABYはオヤヂ度を計測できるリトマス紙である)が録音するという企画が立ち上がり、山下・伊藤氏がそのために作ったそうだ。しかしこのときは企画自体がつぶれてしまい曲だけが残った。
その後、山下達郎、大貫妙子、村松邦夫などが結成した伝説のグループ「シュガーベイブ」唯一のアルバム「SONGS」に収録され世に出たが「シュガーベイブ」は直ぐに解散してしまった。ちなみにこの「SONGS」は中古LP市場で高額取引されている。なぜか私は2枚持っている!?

「ダウンタウン」は、困ったときや苦しいときでも「・・・ま、いいや。面倒なことは忘れちゃえ」という気にさせてくれるので、何かの時の常備薬として大事にしていきたい曲だ。
「うふ・ふ・ふ」もヒット曲、こちらも思いっきり元気をくれるEPOの真骨頂といえよう。
しかしいくつかのアルバムを注意深く聴いてみると、彼女は人を元気づける歌の他に、
自分の居場所を求めて大いに悩み迷うといったテーマも多く、彼女は、歳を重ねるごとに変化するその迷いや悩みを、いつも等身大に歌い続けてきたように思う。
迷い悩みすぎて彼女はついに彼女自身がセラピストとなり自宅で開業している!?(完全予約制とのことだ。)

私は90年代前半のアルバム「wica」や「WORKS」が愛聴版で、収録された「12月のエイプリルフール」「汽車」「私について」などがとくに好きである。


逗子には松任谷由実、小田和正といったJ-POPの巨匠も住んでいる。
この555席という「なぎさホール」にぜひ出演して欲しいものだ。
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by bbbrothers | 2005-07-03 18:07 | 音楽の話題