山の中の カニ掘り

朝晩の気温が下がってきた。スキー好きは雪の便りが待ち遠しいだろう。
私は数年前まで神奈川と山梨の県境に近い森の中で仕事をしていた。
ある晩秋、地元出身のスタッフが「カニ掘り」に誘ってくれた。ここは山の中である。
まず耳を疑った。カニって蟹なの? 掘る?
約束の日、本当にクワやスコップを用意して出発である。

職場の裏の渓谷に下りるとすっかり冬景色、川が凍り付いてガラス越しのように水流はテロテロと流れ周囲の土もすっかり凍っていて霜柱が立っている。
いよいよ「カニ堀」だ。川のほとりをスコップで掘り始める。すると凍った土の中から霜粒をつけて丸まっているサワガニがころんと出てきた。カニはどう見ても完全に凍っている。あまり深く掘っては駄目なところが潮干狩りに似ている。クワでぐさりとやるものだから真っ二つと心配したがそれほど高密度にいるわけではない。とにかく本当に「カニ掘り」だった。
1時間掘って汗だくになった。俺はあたりをめちゃくちゃに耕すばかりで「ご苦労さん」という賞賛の割にはたった5匹しか捕れなかったのだが地元の連中はさすがで、狙いが的確なのだろう、全部で100匹くらいを捕獲した。といっても相手はまったく動かないのだから「捕獲」と言えるのか疑問だ。

職場に水を張ったバケツを用意してカニたちを入れておくと数時間後に目を覚ましモゾモゾ動き始めている。完全に凍っていたはずなのに平気で蘇生するとは実にあっぱれだ。こうやって2日くらい置くと泥が抜けるという。これも潮干狩りと一緒だ。カニたちはプツプツとあぶくを出したりで、春が来た!とルンルン気分のようだった。ところが、このあと唐揚げやしょうゆ煮にされ人間のお正月のツマミとなるわけでカニたちにとっては全くの災難、ホロコースト並に気の毒だ。
ちなみに夏場は毒があるので捕らないところは牡蠣と同じだ。さっそく食べてみた。歯ごたえと味付けは味わえたが肝心のカニ本体の味が判別できない。地元の連中が、どうだ旨いだろうと自慢げなので俺は頷くしか無かった。なんとなく罪な話であった(笑)。
[PR]
by bbbrothers | 2005-11-12 17:50 | ちょいとびっくり
<< ギグドラム 謎のピアノ 新白鍵 >>