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タンチョウ

タンチョウ_c0018561_9555580.jpg丹頂といえばポマードである。こいつでアタマを固めなければ兄貴やオヤジになれなかった。
先端のとがったピカピカの黒革靴を履き、体を傾けてタバコをくわえ、時には遠くを見つめて口笛を吹いたりする、これがポマード香る大人の男である。歯磨き粉はもちろん「タバコライオン」だ。

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ポマードで心配なのがブヨや小バエのひっつきだ。アタマが蠅取りリボン状態ではレディを口説けないはずだ。ヤンキー君たちは夏の夜、公園の街灯の下にしゃがみこんだりしないほうがよい。



ところで先日、タンチョウヅルを見に釧路のツルセンターに行ってみた。ところが未だここに居ないと言う。
なるほど冬に渡ってくるんだな、と思ったのだが釧路のツルは留鳥で広い湿原のどこかに潜んでいて見つけるのが難しいらしい。
しかし冬になると湿原が凍ってしまい餌がとれなってこのツルセンターの餌場に集まって来るとのことだった。
そういうわけでタンチョウヅルの写真は雪景色のなかが多いわけだ。

ツルはあきらめ霧多布湿原に移動、展望台に向かった。
するとなんと展望台の手前の芝生にタンチョウヅルのツガイがいるではないか。
ゆるゆると歩きながら何かをほじくっている。
私は興奮を抑えきれずカメラを取り出しゆっくりツルに近づいていった。
私が1歩進むとツルは2歩遠ざかる、それでも5mくらいまで接近に成功した。
しつこく追っていったら崖に追いつめることとなり、ツルはおもむろにふわりと大きな翼を広げ飛び去っていった。
パサッと1回羽ばたくと、あとはそのままグライダーのように音もなく数百m滑空しあっというまに点のごとく姿が小さくなり
湿原のどこかに降り立ったのだろうが草に紛れて見えなくなった。
本当に美しく得をした気持ちになった。

タンチョウ_c0018561_10115915.gifこれが逃げるツルの写真だ。
ところがその後で展望台に上りヤバい事に気づいた。
ずらりとカメラの列、みんなそのツルを息を潜めて撮影していたのだ。
おまけに「本日ツル2羽観察可能」という立て看板まで出ているではないか。
私が展望台に姿を現したときの刺すような視線、みんな無言で用具を片づけ始める人もいる。
ツルに続いて逃げ出すようにその場を去ったことはいうまでもない。

そこで私の行為の損害賠償額を計算してみた。
撮影者たちは東京から1泊2日で有給をとって撮影に来ていたが私の行為でツルが逃げ写真が撮れなかったとする。航空券が往復5万円で宿泊費や食費が2万円とする。有給なのでその賃金を1万円としよう。合計で8万円である。そういう人が6人ほどいたので合計で48万円だ。
ところである人は今回の撮影のために撮影機材を新調、例えば900万画素のデジカメが10万円だったり
望遠レンズが9万円だったりと考えると
・・・どうもすんませんでした。
by bbbrothers | 2005-10-01 09:58 | 毎度ばかばかしいお話
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