パンソリを聴く

先日、パンソリを聴く機会に恵まれました。
韓国の人間国宝である安淑善(アンスクソン)さんが来日、パンソリ「春香歌」の一部とそのほか数作品を聴くことが出来ました。若々しく美しい女性です。

パンソリとは朝鮮に古くから伝わる歌唱(語り物)放浪芸で太鼓と歌い手の2人だけで演じられます。
起源ではシャーマニズム的要素があったようですが、もっぱら街角や門付け、あるいは宴席芸として発展しました。
放浪芸者は日本でもその傾向があったように賤民として差別的に扱われていたそうです。
パンソリとしては12編の物語が伝承されていて起源は18世紀頃、それぞれは1編を歌い上げるのに数時間かかるという大作です。
完全な口承芸能で楽譜はおろか歌詞も文字では残されず、すべて師匠から弟子へ受け継がれてきました。
日本で言えば、浄瑠璃節と浪花節の中間のように思いました・・中世の説教節にも似ています(説教節の話はまたいずれ)

私がパンソリを知ったのは1993年の映画「風の丘を越えて ソピョンジェ(西便制)」です。パンソリ旅芸人の親子を描いた物語、壮絶な生き方と奥行きのある映像美が深い感動を呼びます。映画を観てパンソリを聴きにソウル市内の「コリアハウス」という観光施設に行きました。ここでは外国人向けに韓国伝統芸能がいくつか上演されていて、時々パンソリ公演もあるのです。私が行ったときはパンソリは10分程度でしたが、迫力あふれる声でしたがちょっと暗ーい印象の公演でした。(観客も少なかった)

安さんのパンソリは、滔々と流れる大河のような迫力にあふれていたり
はるかな幽林から風に打ち消されるように弱々しく聞こえる小鳥の歌のように微かだったり、
その表現の豊かさはここでいくら例えを書いても尽きることがありません。表情も豊かです。激しい部分の声量はかなりのもので怖いくらいの迫力です。
言葉の意味がわからなくても充分感動させられます。
テクニックは極めて高度です。呼吸、発声、姿勢が関連しあいながら、肺や横隔膜、喉の奥や手前、舌の先やまん中や奧、鼻腔のあちこちすべてが歌い手によって精密にコントロールされています。
修行は本当に厳しそうです。口承ですから頼るものは師匠の生歌だけです。
後継者はやはり不足しているようです。
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by bbbrothers | 2004-12-02 13:16 | 音楽の話題
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